ゲスト投稿:洞窟の国、キルギス(パート2)

スイス人のアウトドアブログ洞穴の国、キルギス(パート2)1

(投稿 by Jörg )

この投稿は、キルギスでの洞窟探検体験記第二編です。キルギスの東部を目指し旅を続けた私たちですが、この移動は苦痛を伴うものでした。標高3000メートルの峠道は蛇行が激しく、そのほとんどが砂利道でした。おまけに、渡らなければならないはずの橋が、崩れ落ちており、遠回りを強いられ、悪路の移動はさらに長引いたのでした。よ

うやくナリンに到着した頃、日は暮れており、皆移動疲れしていました。ナリンは、キルギスの南東部に位置するナリン州の州都で、一年を通して温暖の差が極端であることで有名です。夏は30度まで上昇し、冬はなんと、氷点下40度まで冷え込みます。私たちのガイドを務めるアズマートは、ここナリンの出身で、この地で過ごした幼少時代について、興奮した口調で話してくれました。この晩、数日ぶりのホテルでの宿泊は、ふかふかのベッドに温かいシャワー、そしてレストランでの美味しい食事と、快適極まりない心地よさでした。ホテルの内装は、錦織の壁紙に高天井にはシャンデリアが飾られており、豪華絢爛なロシアンスタイルといったところでしょうか。


 

レストランでは、私たちの一皿目の料理がテーブルに運ばれると同時に、ライトが消灯し、ライトショーと共にディスコマシーンが起動しました。ダンスフロアは、ロシアンビートにのった客で少しずつ埋まっていき、人々はウォッカを流し込み始めました。ナリンは、交通の要衝として知られ、カクシャール山岳地帯の遠隔地に交通網を延ばしています。さらに続く悪路移動に向けて、私たちはロシア産の6輪駆動 SILトラックを手配してもらいました。中国との国境側で待ち受けていたのは、二重の国境警備です。カラシニコフ銃をぶら下げた国境警備兵にパスポート提示を要求され、一人一人名前を呼ばれました。その後私たちは、中国国境内の道路さえ整備されていない無人地帯に踏み入りました。この地域は、夏の間のみ放牧民の移住地となっており、ここのアクサイ渓谷の冬は、氷点下45度にまで冷え込む極寒の地です。地平線上には万年雪に覆われた4500メートル級の高峰が、その存在感を放っています。私たちの運転手のヴラディミールは、深いアクサイ川を渡り切るために、先ず川岸に出向き、時間をかけて確実な走行ルートを探った後、私たちを乗せたSILを、安全に向こう岸まで渡してくれました。日が沈み雨の降る中、私たちは標高3300メートルにあるキャンプ場に到着しました。この地には、500メートルもの深いコキヤ渓谷があり、石灰岩が南部の川の支流にまで広がっています。ここでのミッションは、渓谷のいくつかの岩壁の調査でした。その晩は、私たちの黄色いトンネル型テントの中で、温かな夕食と共にくつろぎ、翌日の調査に備えて、少々の緊張感を抱きながら早めに床に就きました。

 

スイス人のアウトドアブログ洞穴の国、キルギス(パート2)2

翌朝、テントの入り口は霜で凍り付いており、霜を掻き取りながらテントを出た私たちを、日の出が出迎えてくれました。まるでおとぎ話に出てくるような美しいコキヤ渓谷の景観の中で、私たちは、丸二日かけて、蛇行の激しい渓谷の岩壁調査を実施しました。高さ15メートル程の岩壁に暗い穴が見えました。穴へのアプローチには、強い水流の川を幾度も横断する必要があります。ピーターは、15回もの横断を行いチームの記録をつくりました。三日後の探検成果は、洞穴と長さ10~20メートルほどの小さな洞窟群の発掘でした。その内のいくつかの洞窟では、大きな方解石結晶が見つかりました。


 

成果内容に少々物足りなさを感じたものの、最終日は、観光スポットとして有名なイシクル湖で湖水浴を楽しみ、夜は、首都ビシュケクにあるキルギスの伝統的なユルタのレストランで、たくさんの肉料理とクミスで、無事の探検終了を祝いました。クミスは、馬の乳を発酵させて作った馬乳酒でキルギスを代表する飲み物です。独特の酸味と臭いがありますが、栄養豊富で遊牧民にとってはビタミンC補給源となっているようです。翌朝、私たち洞窟探検隊は、皆で口を揃えて「この国には洞窟しかない!」と言い残し、美しい自然の魅力溢れるキルギスを後にしました。

 

いつ: 2017年8月26〜9月10

どこ: キルギス

(Photos by J. Dreybrodt, N. Shape and A. Wright)