(ゲスト投稿)鉱石を求めて、宝の山への採集ツアー(パート2)

スイス人のアウトドアブログ(ゲスト投稿)鉱石を求めて、宝の山への採集ツアー(パート2)1

(投稿 by Christian )

 

鉱石採集ツアー パート1で、水晶が潜む晶洞の発見に成功したことを紹介しました。今回は、その翌年に再び訪れた晶洞での採集ツアー第二弾記です。その夏は、例年になく気温が上がらず不安定な天気が続いていました。それでも、前年発見した晶洞の残りの水晶を採集すべく、私たち鉱石採集ツアー一行は、再び「宝の山」を目指しました。採集道具のほとんどは、晶洞の中に置いたままにしてましたが、悪天候に備えた雨具や、例年より広範囲に残る万年雪対策、そして、晶洞奥手の採掘に必要となる更なる道具など、このツアーでも沢山の道具を担いでの登山となりました。


 

採集ツアー当日、晶洞までの道のりは前年に比べより険しいものでした。登山半ば、雪解け水から形成される小川は凍りついており、滑らないよう一歩一歩慎重を期しました。また、広範囲に残る万年雪も表面が完全に凍っていたため、アイゼンの装着なしでは進めませんでした。私たちが再び晶洞にたどり着いたのは、出発してから4時間後のことでした。晶洞のある標高3000メートル地点では、前々日から前日にかけて雪が降ったようで、晶洞辺りには新雪が積もっていました。晶洞は、前年私たちが去った時の状態と変わりなく、誰かしらに触られた形跡は見られませんでした。この採集ツアーは二人組でした。晶洞の中は緑色をした砂だらけで、作業はまるで砂場の上に転がっているかのような心地でした。砂に覆われた水晶の採集作業は、標高3000メートル以上で空気が薄いということもあり、発掘をさらに困難にさせました。このような大気密度の低い状況下、無理は禁物です。適切なテンポで動かなければ、たちまち高山病に襲われ、悪化すると下山が危ぶまれる程苦しむ可能性があるのです。

 

スイス人のアウトドアブログ(ゲスト投稿)鉱石を求めて、宝の山への採集ツアー(パート2)2

ランチ休憩中、運が良かったと言える衝撃的な出来事が、私たちの目前で起こりました。つい10分前まで採集作業していた晶洞中の天井から石が崩れ落ちてきたのです。運悪く、もし作業最中の出来事であったならば、命に関わる大惨事になっていたことでしょう。この出来事を機に、私たちは一層注意深く採集作業に臨みました。細心の注意を払いながら、晶洞中に2本の木で支柱を作り頭上の岩の崩れを防ぎました。支柱は晶洞中の作業をややこしくしましたが、一方で、安全面での補完となり、その後も作業を続けることができたのは幸いでした。というのは、晶洞中の天井から多くの水晶を採集することができたのです。このような場所の水晶はそう簡単に採集できるものではありません。天井の水晶は、採り出す最中壊れてしまう可能性が高く、また、ハンマー等の作業により、当然頭上の岩が作業中の身に崩れ落ちてくる危険性があるのです。これらのことを念頭に、作業をゆっくりと慎重に進めながら、一つ一つ水晶を確保できた度にホッと喜びを味わいました。晶洞の奥には、然程大きな水晶は残っていなかったものの、いくつもの異なる興味深い水晶を入手することができました。ある水晶はその輝きが素晴らしく、また別の水晶は独特の色合いと形をしており、私たちにとっては、どれも唯一無二の嬉しいお宝です。


 

特にお気に入りの水晶は、ねじれた透明の水晶です。この種の形は世界的にもとても希少性が高く、少数の山にしか存在しません。私たちはこの希少な水晶の発掘を、新聞で公表することにしましたが、公表を躊躇しなかったことには、二つの理由がありました。一つ目は、この発掘が私ともう一人の二人によるもので、発掘した”お宝”は、二人で山分けできたこと。二つ目は、晶洞からどんなに多くの水晶を採集できたとしても、それらを全て持ち帰ることが出来ないということにありました。晶洞の水晶は、その輝きや形、また色合いなど、私たちを魅了したもののみ採集し、後は次の採集の機会に残しておきます。発掘した鉱石は、すでに採集時点で美しい輝きを放ったものもあれば、砂や泥まみれで、家に帰って磨き上げるまでは、その美しさが認識できないものもあります。持ち帰った水晶は、何にしても適切な方法で汚れや錆を落とす必要がありますが、磨き上げた水晶の美しさは、宝石そのものです。水晶の持つ本当の美しさは、ライトアップしたカメラで覗き込んだ時に初めて知ることができるかもしれません。

 

いつ: 夏・秋シーズン

どこ: スイスのとある山…

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参考:鉱物採集ブログ: https://blog.goo.ne.jp/okoshiya/c/c9ecaa2c9453b2354cf8e53f48e87d62

(Photos by C. Brodmann)