ヨーロッパアルプスを横断する越境長距離ハイキング:Via Alpina (パート1) スイスのシュクオルからイタリアのティラーノまでの道のり

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ヨーロッパには「Via Alpina」といって、イタリア・スロベニア・ドイツ・オーストリア・スイス・リヒテンシュタイン・フランス・モナコの8つの国にまたがるアルプスに5つの長距離ハイキングコースを巡らせた越境ハイキングコースがあります。Via Alpina の5つの長距離ハイキングコースの総距離は5000kmを超え、全コースを一気に制覇するには5ヶ月かかると見なされています。私たちはこの8月、2週間の有給休暇をとり、Via Alpinaの長距離ハイキングを体験しました。コースの始点と終点をスイス国内に定め、自宅と始点・終点のそれぞれの地点間を電車移動できるよう計画しました。ハイキングの始点は、スイスのグラウビュンデン州下エンガディン地方にあるシュクオル (Scuol)という村で、終点は同州でも上エンガディン地方にあるマローヤ (Maloja)という村でした。私たちのハイキングは、始点から終点を直接目指したものでなく、グルッとイタリアの国境を股がって歩き、2週間中のハイキング総距離は200kmで、コースのほとんどは、標高400メートルから3000メートルの標高差で、越えた標高差の総計は1万メートルを超えました。2週間分の荷物を収めたリュックサックを担ぎ、私たちは毎日歩き通しました。Via Alpinaのハイキング体験談は、スイスのシュクオルからイタリアのティラーノまでをパート1、ティラーノから終点のマローヤまでをパート2として紹介したいと思います。

 


Via Alpina に挑んだ8月下旬、スイスの学校の夏休みは終了していましたから、宿泊施設が満室状態で無いことはわかっていました。それでも出発前に、2週間の全行程分の宿泊施設を予め予約しておくことにしました。毎日、終日歩き通すわけですし、何より万一の悪天候の際、その晩の宿が確保されていると、安心材料になると考えたのでした。宿泊施設はコースの位置により、ホテル・B&B・山小屋を利用しました。2週間中のハイキングコースは、予め十分に検討し計画を立てていましたが、いざハイキングに出ると、計画の変更を受け入れる柔軟性が求められます。それは例えば、計画したコース中ある区間で森の伐採作業が行われており、その先は通行止めになっているケース。または、急な悪天候によりコースのコンディションが悪化しコース変更を余儀なくされるなど、いくつかの予期せぬ事態を覚悟する必要があります。私たちは幸いにも、2週間通して晴天に恵まれ、そうした「不意打ち」を食らうことはありませんでした。また、終日のハイキングでとても重要なことの一つとしては、十分な飲料を常備しておくことです。特に私たちは、晴天続きの中のハイキングでしたから、各自少なくとも1.5リットルの水を持つようにしていました。コースの途中で小川や井戸を見かければ、水を補充し、とにかく飲料水を切らさないよう心がけました。一つ注意点として、牛や羊が放牧されている場所の近くにある小川や井戸の水は、飲料水としての水質に問題がある可能性がありますから、私たちは、Micropur という浄水タブレットを常備し、必要に応じて水処理を施せるようにしていました。

 

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ハイキングコースからの景色は実に様々で、数時間おきに目にする風景は変化しました。コースのスタート地点のシュクオルは標高1500メートル。イタリア・ティラーノまでの道のりで最も標高の高い地点は、スイスとの国境近くでイタリア北部のアルプス山中にある標高2757メートルのステルヴィオ峠でした。この峠からは氷河を眺めることもでき、これ以上の素晴らしい景色はないと言っても過言ではありません!このステルヴィオ峠は、 頂上までバスを利用することも出来ますし、または、3時間ほどかけてゆっくり歩いて登り、下りはリフトを利用することも可能です。この峠近くの地域を訪れる機会がありましたら、晴天の日には、峠越えに挑戦することをお勧めします!私たちのハイキングは、ダイナミッックな峠の他に、手つかず状態の谷をも通過しました。ここでは人ではなく数種の動物と遭遇することが多く、よく見かけたのはスイスでも繁殖が盛んなモルモットでした。

 

ハイキングを開始して8日後、ステルヴィオ峠からの長い下り道の末到着した街が、イタリアのティラーノです。標高400メートルに位置するこの小さな街は、地中海温暖気候で、リンゴの木々や花庭園の美しい心地よい街でした。私たちはティラーノの旧市街地で、ピザやジェラードを食べエネルギー補給し、のんびりとしばしの休憩を楽しみました。ティラーノは、スイスのサンモリッツ出発の観光列車「ベルニナ急行」の終点としても有名です。ベルニナ急行でティラーノを訪れたと思われる日本人観光客を何人も目にしました。Via Alpina長距離ハイキングスタート当初は、足のマメを苦痛に感じたり、終日歩き通した翌朝は、もっとゆっくり寝たい!と、早朝の起床を躊躇うこともありましたが、一歩コースに出れば、目の前に広がる自然の美しさに魅了され、晴天に恵まれたことも加わり、一日一日のハイキングを心から楽しむことができました。