以前、このブログで紹介してますが、私たちは2017年に Via Alpina というヨーロッパ 8カ国にま たがるアルプスの越境長距離ハイキングにチャレンジしました。長距離ハイキングコースは5コー スあり、その総距離は 5000 Km を超えるので、一気に制覇することは到底不可能です。今年の夏 休みに、3年前の続きとして、グラウビュンデン州のマローヤ(Maloja)から西のティチーノ州ま でハイキングする計画を立てました。今年は、3年前と異なりテントを持参することにしました。 連日、一日中歩き通すハイキングは、その日の体調やコースの険しさによって、所要時間が測れず、 予めホテルを予約しておくのはストレスになることがあるのです。毎日テントを担いで歩くという 負担を少しでも軽減すべく、アメリカのオンラインショップで見つけた、なんと総重量1キロのテ ントを注文しました。
残念なことに、この注文品はハイキングへの出発までに間に合わず、私たち の手元に届いたのは、ハイキングを終え我が家に戻ったタイミングでした。軽量テントを持参で きなかった分、従来のテントの他、寝袋・地面に敷くマット・食料品・着替えの衣類など、 リュックには優先順位をつけて、重くなり過ぎることのないよう詰め込みました。私たちの出発 は、悪天候続きの翌日だったため、山の上部にはかなりの雪が積もっていました。幸い、積雪に も対応できる、防水機能の優れた登山靴とハイキングスティックを持ち合わせていたので、どん なコンディションでも問題なく、むしろ、「真夏の雪景色」を楽しむことができました。出発の前夜は、居心地の良いホテルに宿泊して、翌朝、3年ぶりの越境長距離ハイキングへと出発 しました。一日の歩いた距離や高低差は、その日のコースの標高により日々異なりましたが、毎 日8時には出発して、夕方5時ごろには歩き終えるようにしていました。初日の寝床は、夜空が 迫ってくるような、標高2200メートルの山上にテントを張っての野宿でした。夏とはいえ、さす がに2000メートル以上の山上となると、日没後は一気に気温が下がり、寝袋が湿っていたことも あり、凍えるような寒さでしたが、空を見上げると、満月が美しく輝いており、そこでしか味わ えない時間を満喫したのでした。二日目は、ジュフ(Juf)という村からアベールゼル谷 (Aversertal)を目指して歩きました。先にも述べてますが、天気やその日の体調によって柔軟に 対応できるよう、今回ホテル等の宿泊施設は事前予約しませんでした。アベールゼル谷に無事到着 したものの、ここにある唯一のホテルは空きがなかったため(客室はたったの4室ですから!)、 私たちは、バスを利用してアンデール(Andeer)という村に移動して宿泊宿を確保しました。ス イスの公共交通機関網は、とても充実しており、こうした小さな村へのアクセスも割とスムーズに できます。翌朝は、再びバスを利用して、Via Alpina のハイキングコースへ戻り、この日は、イタ リア方面のニエメト(Niemet)という峠を越えました。

折角、イタリアの国境を越えたのですか ら、この日の晩はイタリア側の山にテントを張って野宿したかったのですが、あいにく、テント 設営に適した環境が見つからず、スイス側に引き返し、峠近くでテントを張ることにしました。幸 い、この判断は大正解で、私たちのテント設営場の直ぐ近くに、自然に作られた、まるで浴槽の ような小さな湧水地が2つもあり、温泉ではないものの、終日太陽の光によって温められた水は、 温水プールのような心地良さで、他人影のない自然の中で、夫婦揃ってなんちゃって「露天風呂」 気分を味わいながら、沈みゆくサンセットを楽しんだのでした。これ以上の贅沢があるでしょう か!これはテントで野宿する醍醐味だと言えます。私たちの Via Alpina ハイキングはもう少し続き ますから、引き続き、次回のパート2で紹介したいと思います。
いつ: 2020年8月3日~5日
どこ: スイス、グラウビュンデン州のマローヤ(Maloja)からインナーファーララ(Innerferrera)