5月中旬、スイスでは未だコロナによる緊急事態措置が解除されていませんでしたが、感染者数は著しく減少しており、感染リスクのピークから脱した気配が見られました。5月は、キリスト教関連の祝日が続きます。感染リスクの懸念から少し解放されたのか、外に出てくる人の数も徐々に増えていました。こうした状況を踏まえ、私たちは連休を利用して、久しぶりに遠出することにしました。目的地は、週末や休暇でよく利用している、ヴァリス州の山小屋です。よく考えてみると、山の中腹にポツンと立つこの山小屋は、実は、コロナ感染を回避するには理想的な場所と言えます。人里離れた山小屋の周辺で人を見ることはまずありません。山小屋滞在中は、天気にも恵まれ、毎日の朝食は、野外で目の前の雄大な自然風景を見ながら優雅に頂くことができました。
私のブログの中で既に何度も紹介していますが、私たちは数年前からヴァリス州にある叔母所有の山小屋を休暇のたびに自由に利用させてもらっています。電気の配線も給湯設備も無いこの山小屋では、寒さの厳しい冬の間さえ、温かいシャワーを浴びることができません。そんな山小屋を利用するようになって以来、私たちは長年「この山小屋にサウナがあったらどんなに最高か」と妄想を抱いたものでした。しかし、実際の山小屋の設備からは、サウナ設置など非現実的なことでした。ところが、ある日ネット検索していると、持ち運び可能なロシア製の「テントサウナ」の存在を見つけ、これなら、山小屋の設備等に関係なく設置可能であると、直ぐに購入を決意しました。
今週末、やる事が多かった私たちには、当然、趣味のアウトドアスポーツなどに費やす時間はありませんでした。それでも週末は、平日にできない何かしらのアクティビティで少しでも心身をリラックスさせたいもの。そこで、我が家の庭でアウトドアクッキングをすることにしました。わざわざ車を走らせて遠出しなくとも、わずかな時間ながらも、ちょっとしたアウトドアアクティビティ気分を味わうことができます。私たちの友人の一人に猟師がいます。今秋、彼が狩猟したイノシシを丸ごと一頭購入した私たちは、部位ごとに小分けして冷凍保存していましたから、この日のアウトドア料理は、焚き火をおこしてイノシシ肉のグーラッシュ(煮込み)にすることにしました。スイスでは毎秋の狩猟解禁後、鹿やイノシシ、野うさぎなどのジビエ料理を振る舞うレストランが多くとても人気です。
イースターという、イエス・キリストの復活を祝うお祭りは、日本では未だ馴染みの薄いイベントだと思いますが、ヨーロッパでは、クリスマス同様一年の大事なイベントの一つです。このイースターは、春分の日以降最初の満月から数えて最初の日曜日と定められており、毎年日付が異なります。今年は例年になく少し遅めの4月21日で、その前後トータル4日間はイースターホリデーで、学校も仕事もお休みとなります。絶好のアウトドア日和に恵まれたイースターホリデーを、私たちはヴァリス州(山の中腹にあり、いつでも自由に利用できる山小屋)で過ごすことにしました。春の山の魅力は何と言っても、「冬の過ごし方」と「春の過ごし方」という選択肢があることでしょうか。「春の過ごし方」を楽しみたい場合は、山の麓の先の谷に出かけると、そこには春の芽吹き鮮やかな新緑と花畑が広がっています。「冬の過ごし方」を楽しみたい人は、ケーブルカーで山の上部まで上がると、春スキーが楽しめます。イースターホリデー中、私たちは、もちろん両方の過ごし方を楽しみました!
この冬、スイスではよく雪が降りました。山には、この数年見たことないほどの雪が積もっており、私たちの雪山でのアクティビティ欲は高まるばかりでした。あいにく、土日丸々フリーの週末がなかったものの、冬の間にもう一度テントを張って一夜したいという思いを諦められなかった私たちは、ちょうど同じタイミングで、雪穴を掘ってそこで一夜したいと計画している友人の存在を知り、彼らと一緒に、雪山で1泊を過ごすことを決めました。雪山1泊を計画した週末は、あいにく悪天候の予報でしたが、私たちは計画を実行することにしました。この判断は正解で、出発の土曜日の天候は良好でした。今回の雪山は、グリュッシュ・ダヌサ(Grüsch-Danusa)というオーストリア国境に近い小さなスキー場のある山でした。
5月のある週末、その日は午後から用事が入っていましたが、何かしらのアウトドアアクティビティをしたいと、早起きして、近くのハルウィル湖でカヌーを楽しむことにしました。この湖は、我が家から車でわずか10分のところにあります。前夜のうちに、カヌー漕ぎに必要な用具を全て車に積み終え、当日の朝は、5時起床、コーヒーで目を覚ました後、出発しました。ハルウィル湖のほとりには、ハルウィル城という水堀に囲まれた美しい城が立ってます。私たちはこの城の駐車場で車を停め、城の脇を流れる小川からカヌーを出発させました。この「小さな楽園」では、モーターボートの運転は禁じられています。早朝の小川には、私たち以外人の気配がなく、耳に入ってくるのは、鳥のさえずりと私たちの漕ぐパドルが立てる水の音のみ。私たちの行く手には薄っすらと霧がかかっていて、静寂さと相まって、幻想的な雰囲気でした。
私たち夫婦は共働きですから、毎週末二人揃って本格的なアウトドアアクティビティを楽しめるわけでは、決してありません。他の共働き世帯同様に、平日に行えない家事や家族行事など、週末はすぐに用事で埋められがちです。ですから私たちは、少なくとも月に一度の週末は必ず、何かしらのアウトドアアクティビティを行うよう、意識しています。例えば、1月のある週末は、我が家の庭で「アウトドア料理」を楽しみました。寒空の中、焚き火を起こし、普段とは少し違った環境で料理することだけでも、十分にワクワク感を得られます。この日のメニューは、レンズ豆の煮込みにソーセージでした。このメニューは、一つの鍋で、豆の煮込みもソーセージも同時に調理できますから、オススメです。
前回の記事(戌年の年明けにノルウェーの銀世界を犬ぞりで駆け抜ける(パート1)で紹介しましたよう、2018年の幕開けは、ノルウェーで犬ぞりツアーに参加して過ごしていました。犬ぞりは、極寒の中でも野外活動を楽しみたいというアウトドア愛好家にとって、ワクワク感と爽快感を得られるエキサイティングなアウトドアアクティビティではないでしょうか。犬の吠え声、雪の上を駆けるソリの音、そして辺り一面幻想的な銀世界は、私たちを大いに魅了しました。そして何よりも感動的であったのは、オーロラの圧倒的な美しさでした。ラッキーなことに、私たちはツアー中、三度も夜空に舞うオーロラをこの目にできたのです。私たちの手元には、ハンディサイズのアウトドア用カメラしかなく、写真でオーロラの美しさを収めきれなかったのがとても残念です。
今年日本は、戌年ですね。スイスには、日本のような干支の暦はありませんが、私たちは2018年の戌年に相応しく、年明けをノルウェーで「犬ぞり」ツアーに参加して過ごしていました。犬ぞりはおそらく、孤独を愛し、寒さを厭わない人に適したアウトドアアクティビティではないかと思います。数年前に新婚旅行で訪れたスウェーデンで、私たちは既に犬ぞりツアーを体験していました。当時はテントのみでの宿泊でしたが、今回はより快適性を求め、山小屋での宿泊を主としました。計画段階で少々懸念していたことは、この時期(1月初旬)最も日が短くなる北極圏…. 言い換えると、1日中ほぼ暗闇となる環境下でどんな日々が待ち受けているのかということでした。結果を一言で言うと、それはまるで「夢の世界」に居るかのようでした。
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